以上をふまえ、費用と時間をほとんどかけずにできることを5つ挙げます。
1. 近所の自然を、15分だけ五感で歩く
公園や川沿い、街路樹のある道でかまいません。歩くこと自体ではなく、「風、どんなにおいがする?」「この葉っぱ、さわるとどう?」と、感覚に向ける言葉をかけることが重要です。15分×週2回でも、季節がめぐる頃にはかなりの量になります。
2. 台所とお手伝いを、体験の場にする
野菜を洗う、卵を割る。台所は五感がいちばん多く動く場所です。国立青少年教育振興機構の調査でも、お手伝いを多くしている子どもほど自己肯定感や道徳観が高い傾向が示されています。「手伝わせる」のではなく、「お米を計るのはこの子の担当」と役割を渡すのがポイントです。
3. 寝る前の3分で、その日の出来事を言葉にする
体験は、したあとに語られることで残ります。親が「それでどうなったの?」「そのときどう思ったの?」と話を広げるように聞くと、子どもは出来事を順序立てて思い出し、そのときの気持ちに言葉をつけていきます。同じ一日でも、語られた一日のほうが子どものなかに残ります。旅行に行けなかった日でも、語る材料は必ずあります。
4. 月に一度、無料か低額の公的な場所を使う
図書館、児童館、公立博物館の無料開放日など、税金で用意されている体験の場は多数あります。動植物園や博物館の見学は、自己肯定感や精神的回復力と関連する「文化的体験」に含まれます。入場料の高さと効果は比例しません。
5. 何もしない時間を、予定表に残しておく
6歳児を対象とした研究(Barker ら, 2014)では、大人が管理していない自由な時間が多い子どもほど、自分で目標を立てて行動を組み立てる力が高いことが示されています。退屈は、能力が育つ前段階です。空白の時間はそのままにしておいてかまいません。